インタビュー
みなかみの自然はワールドクラス
男の子
…アウトドアガイドの仕事を始めたきっかけって?
語学留学で行ったオーストラリアで初めてラフティングを体験してハマッちゃって。帰国後、縁あってみなかみにやってきました。みなかみの自然って実は世界一級。利根川上流の水量と谷川連峰の大パノラマはニュージーランドにそっくりなんです。「アウトドアの聖地」と呼ばれるみなかみのポテンシャルに気づいて以来、みなかみでアウトドアガイドの仕事をしています。
楽しい! だけじゃない、心と体へのプラス効果
女の子
…アウトドアアクティビティで、
ストレス発散できそう~。
自然の中では全力を出すから、眠っていた動物的な力が呼び覚まされるんだと思う。始まる前と後ではみんなの顔つきが全く違ってる。
例えば、冬のアクティビティ「スノーシュー」は、高い積雪の上を約2時間歩くと体幹を使った全身運動になるし、それ以上に、予想もしていないことの連続。谷川岳麓を森の中から雪原にかけて歩くコースは、風景と地形が次々と変わるから特にドラマチック。運が良ければ、カモシカやオコジョ、テンなどに出会うことも。大歓声で雪合戦したり、天然の滑り台みたいな坂道を滑ってみたり。忙しい都会の日常では、こんな外遊びもなくなっているんじゃないかな。
それと、雪景色の中を無心で歩いているとね、意識が内側に向いていくのを感じるんだ。日頃のイライラや焦りがスーッと消えて、「心が整う」ってこういうことじゃないかなって思うよ。
「好き」を仕事にしている大人に出会える
男の子
…本当にこの仕事が好きなんですね。
毎日、嫌だなと思って満員電車に揺られて出勤する仕事じゃないからね。今日はどんな人に出会えるだろう、どんなことをして喜んでもらおうかとワクワクするのが良いところ。何よりも、毎日のように表情を変えるみなかみの自然に、僕らは惚れ込んでいるからね。
ガイド以外にも、この土地を選び、暮らしている人たちそれぞれが信念を持って働いている人ばかりだから、積極的に話しかけるといいと思う。先生でも親戚でもない大人と心開いて話す経験は貴重だよ。
女の子
…剛さんの子供の時代と、今の子供、違いを感じることはありますか?
個人的な感想ですが、「いい子」が増えたなぁ。いわゆる「やんちゃな子」はほとんどいなくなって、みんな素直でいい子。これはやはり、周りの大人たちが先回りして、挫折や失敗がないようお膳立てしてきた結果なんじゃないかな。
学校、部活、塾とやることが決められ、敷かれたレールの上を無難に走っているから、「〜したい!」と自分の内側から湧き上がる衝動で動いたりしない。常に周りの空気を読んでいる分、本当の気持ちを抑え込んでしまって、知らず知らずのうちにストレスを溜めているんじゃないのかな。
男の子
…最後に、僕たち学生に伝えたいことはありますか?
最近はSNSなどの影響もあって、何でも効率的にこなすことが正しいかのように見える。失敗しそうなことにはチャレンジせず、「無理」とすぐ口にします。僕は「やってみないとわからないよ」とよく言うんだけど、うまくいかない時こそ人は成長する。僕らは、今日の失敗を自慢に思えるような、挑戦を楽しめる環境を作ってあげたいと思っています。
「アウトドアガイド」 小柿 剛(こがき ごう)
大阪府出身。オーストラリア留学中にケアンズでラフティングと出会い、ガイドを目指す。1996年からみなかみ町でアウトドアガイドの活動をスタート。現在は、リーダー的存在として活躍中。